日本人と結婚した外国人が、日本でいっしょに生活するためにはビザ(在留資格)が必要になります。
そのような場合、配偶者ビザとも呼ばれている「日本人の配偶者等」のビザを取得して日本で生活することが考えられます。
ここでは、日本人と結婚した外国人が取得する日本人の配偶者等のビザについてご説明します。
日本人の配偶者等のビザとは
日本人の配偶者等のビザ(在留資格)とは、多くの場合は結婚を理由に取得するビザですが、この場合をふくめ、以下の場合にもこのビザの対象となります。
- 日本人と結婚した外国人
- 日本と外国人の間に出生した赤ちゃん(ただし、赤ちゃんが日本国籍を取得した場合は除く)
- 日本人と特別養子縁組をした外国人
ビザを取得するための要件とは
どのビザでもそうですが、ビザには要件があり、その要件を満たさなければビザを取得することができません。
日本人との結婚を理由に、日本人の配偶者等のビザを取得するための最低要件は以下のとおりです。
日本と外国人配偶者の本国で婚姻手続きが完了していること
日本のみならず、外国人配偶者の本国でも婚姻手続きが完了していなければなりません。両国で婚姻手続きをおこなわないと、一方の国では既婚者となりますが、もう一方の国では独身者のままになってしまうためです。そのため、両国で婚姻手続きを完了している必要があります。
婚姻の実態があること
実際に婚姻生活(結婚するまでの状況を含む)を送っていない場合は、婚姻の実態がないのでビザを取得することはできません。なお、離婚した配偶者又は内縁関係は婚姻関係はないので、ビザを取得することはできません。
日本で生活していける資産、仕事先の給与があること
日本で生活するためには、当然のことながらお金が必要です。日本で生活していけるお金がないと判断されると、ビザは取得できません。目安としては、夫婦で20万円くらい(夫婦で給与を合算しても大丈夫です)の給与となります。なお、子ども等がいると生活費は増加するので、目安の金額は増加します。
基本的に法律違反をしていないこと
過去に、日本を含む世界のどこかで一定の犯罪を犯している場合、犯罪の程度にもよりますが、ビザを取得することができない可能性があります。
上陸拒否事由に該当していないこと
日本で生活している日本人が、外国から外国人配偶者を日本に呼び寄せる場合、上陸拒否事由に該当している場合は日本に来ることができないので、ビザを取得することはできません。
注意すべきこと
ここでは、ビザを取得するための要件をもう少し詳細にして、夫婦の関係により出入国在留管理局(旧:入国管理局)で婚姻について疑われる可能性があることを記載しました。
夫婦の年齢差が大きい(特に20歳以上の場合)
年齢差が大きすぎると偽装結婚でないかと疑われることがあります。実際過去に「年配者がお金欲しさに若い女性と結婚して、若い女性は日本で働きたいために偽装結婚をした」ということもあります。年齢差が大きい場合には、出会いから結婚するまでの経緯をしっかりと書面に書いたほうがよいです。
出会いのきっかけが結婚紹介所等による場合
結婚紹介所又は出会い系サイトの場合には注意が必要です。入管では結婚の実態を疑う場合もありますし、ビザ以前に人を騙すための紹介所やサイトがあるためです。直接会ったのが二度程度で結婚しているような場合は要注意です。
出会いから結婚までが短期間の場合
最近は一昔と異なり、出会ってから1週間で結婚するようなこともありますが、出入国在留管理局ではあまりにも結婚が早すぎるので、真実の結婚かどうかわからないため疑わざるを得なくなります。
離婚歴がある場合
日本人側に外国人と離婚歴がある、あるいは外国人側に日本人との離婚歴がある場合、偽装結婚の疑いをもたれる可能性があります。とくに離婚歴が複数回ある場合及び離婚から結婚するまでの期間が短い場合は注意が必要です。
同居する住居が夫婦共同生活をするには狭い場合
夫婦で生活する住居が1Kのような場合、2人で生活するスペースがあるのか?住所登録だけして、他の場所で外国人配偶者は生活するのでは?と感じてしまいます。
婚姻後も別居している
「結婚後も外国人配偶者が本国で生活しており長い期間離れて暮らしている」「外国人配偶者は日本にいるが、結婚後もいっしょに生活していない」という場合は、婚姻の実態を疑われてしまいます。このような場合は、なぜそのようになっているかを書面で説明したほうがよいです。
夫婦が外国で生活している場合のビザ申請方法
現在、夫婦は外国で生活しているが、今後は日本で生活することを考えているのでビザが欲しいという場合があります。
このような場合、ビザを取得して日本で生活する方法は、以下のことが考えられます。
ケース① | 先に日本人配偶者が日本に帰国して出入国在留管理局で在留資格認定証明書交付申請の手続きをおこないます。
その後、許可が出たら認定証明書等を外国人配偶者に郵送して、外国人配偶者は日本大使館等で手続きをして、日本に入国します。 なお、申請してから許可が出るまでの審査期間は、個々の事情によって異なりますが、おおよそ1ヶ月~3ヶ月掛かることに注意が必要です。 |
ケース② | 短期滞在ビザの手続き(査証免除の国は手続き不要です)を日本大使館等でおこない、許可されたら、夫婦で日本に入国する。入国後すぐに、出入国在留管理局で在留資格認定証明書交付申請の手続きをおこないます。
短期滞在の在留期間満了日までに許可されたら、再び出入国在留管理局へ行き、次は在留資格変更許可申請をおこないます。 なお、残念ながら、短期滞在の在留期間満了日までに結果が出ない場合、一度出国して外国人配偶者は本国に帰国して結果を待つことになり、許可が出たら日本大使館等へ行き、手続きをして再度日本に入国します。 |
ケース③ | 日本で生活している親族が代理人となり、在留資格認定証明書交付申請の手続きをおこないます。
許可されたら、認定証明書等を郵送してもらい、日本大使館等で手続きをおこない、夫婦で日本に入国します。 なお、申請代行をおこなう者であっても、日本で生活している親族の代理人は必ず必要なので、もし、お願いできる親族がいない場合、この方法での申請はできないことになります。 |
このように、どの方法で申請するにしてもメリット、デメリットがあります。
どの方法で申請するかの最終判断はご夫婦となるので、よく話し合って決定してください。
短期滞在ビザからのビザ変更について
昔は、短期滞在ビザから配偶者ビザ(日本人の配偶者等のビザ)に変更することは許可されていたのですが、現在では、特別な理由がなければ許可されません。
特別な理由として、例えば、「長期入院している」「お腹に赤ちゃんがいて飛行機に乗れない」等です。
そのため、夫婦が外国で生活している場合のビザ申請方法に記載されていることを参考にして、ビザの申請を検討してください。
外国人に連れ子がいた場合
結婚した外国人に連れ子がいた場合、その連れ子もビザを取得しなければ、日本で生活することができません。
連れ子がビザを取得するためにもいろいろと要件がありますが、特に問題となるのは、「連れ子の年齢」となります。
詳細は、外国人の子どもが連れ子ビザで日本で生活する方法をご覧ください。